安倍政権と日台関係
對於安倍政府和日台關係:我的評價
安倍對日台關係的最大的貢獻是簽署日台漁業協議
(ここでの議論は2012-20年の第二次安倍政権)
安倍政権は,1972年の日本と中華民国の断交以来,台湾に対し最も友好的な政権であった。それを象徴するのが,安倍首相の台湾向けTwitter発信である。災害発生の際などに,安倍首相と蔡英文総統との間でエールの交換が何度もあった。それはSNS上で多くの「いいね」を集めただけでなく,メディアでも広く報道され,日台相互のプラスの印象につながったであろう。
日本政府の台湾向けメッセージという点では,断交後最初の事例を作ったのは安倍政権ではなく野田政権の玄葉外相である。だが,Twitter方式は安倍政権になってから始まった新しい日台のコミュニケーションである。外交関係がない中で,首脳が相手市民との交流を図る試みとして評価できる。
日台関係における安倍政権の最大の成果は2013年の日台漁業協定の締結である。2012年の尖閣諸島国有化で台湾との関係がこじれそうになった。安倍政権は,台湾では漁業への関心が高いこと,当時の馬英九政権が協定締結に前向きであることをよく把握したうえで交渉を進め,最後は高度な政治決断で妥結させた。
これにより,日台の間では領土問題が双方の民衆レベルに悪影響を及ぼさなくなり,その後の関係発展に大きな寄与をした。安倍政権の実績一覧や関連年表が各紙に出ているが,誰もこの日台漁業協定を取り上げていないようだ。
安倍政権はその後も地味に交流推進に取り組んだといえる。安倍首相は2016年1月の蔡英文の総統当選に際して国会答弁で祝意を表し,台湾の民主主義を評価する発言をした。2017年には,政府の対台湾窓口機関を「交流協会」から「日本台湾交流協会」に改称した。また,赤間総務副大臣を台湾に派遣した。これは国交断絶後,初めて副大臣が訪台した事例となった。
安倍首相の実弟である岸信夫衆議院議員が親台派として有名であるが,母親の安倍洋子氏も台湾に好感情を抱いている。安倍首相は子供の時に祖父の岸信介元首相の家を訪れる台湾からのお客を見て早くから台湾に関心を持ったようだ。安倍洋子氏は「首相の代理」として高齢のお体で何度も日台関連イベントに出席した。そのうちの1つは日台漁業交渉が大詰めの時期に訪台し宝塚台北公演を参観することであった。
しかし,2017年以降,安倍政権の積極的な動きは影を潜めた。これは,台湾側が続けている福島周辺5県の食品輸入規制について,日本側が蔡政権に働きかけを強めたが進展せず,政府内に台湾へのよそよそしい空気ができたことと関係している。食品輸入規制問題が棘となり政権レベルでの日台関係は停滞期に入った。逆に,日中関係は習近平訪日を目標として関係改善が動き出した。
安倍首相の台湾への発言は,2018年2月の台湾東部地震へのお見舞いのツイートから2020年1月の蔡英文総統の再選に祝意を表するまでだいぶ途切れていた。2020年4月に台湾からのマスク支援へのお礼でツイートが復活したが,これは習近平訪日の延期が決まってからである。
李登輝元総統の死去で弔問外交が注目されたが,菅官房長官が早々と政府として特使を派遣しないと明言した。その後で(おそらくは安倍支持者から批判され)森元首相派遣を決めてお茶を濁した。ここは訪台経験のある小泉環境大臣か誰かを日華懇議員訪問団に加えるべきであった。弔問であるから中国も大きく反応することはできなかったはずだ。新聞報道では検討した形跡も見られない。中国への配慮が先に立ったのであろう。これでは歴代政権とあまり変わらない。
2018年以降の安倍政権は,Twitterを除けば,対台湾政策であまり進展がなかったように見える。日中関係の大枠を維持しながら台湾でやれる政策は,確かに難度は高いが,やれることはまだあったと思う。一方,表からは見えにくいが,安全保障面では中国を牽制する一定の実績を残した。
2012年の安倍政権の登場後,日台関係が一段と拡大し,相互感情もよく交流が盛んになった。これは2011年の東日本大震災での台湾からの大きな支援が契機となった。安倍政権の寄与もあったが,そのおかげというより,長年にわたり日台の相互理解のために動いてきた日台双方の人々の努力が花開いたという方が適切であろう。
※日台漁業協定について,詳しくは拙稿「馬英九の博士論文から読み解く日台漁業交渉」を参照してください。
http://www.tufs.ac.jp/…/mathesisandfishingagreement_toyobun…
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