〔宜蘭百年自然日曆〕登臨烏石鼻
一百年前的今天:1916年5月14日,早田文藏第四天的旅行是從大南澳出發行經浪速(Naniwa),登後山的警備道至烏石鼻(Ochobi)駐在所之後再下東澳。
隨著「理蕃事業」的結束,此時的大南澳監督所剛從過去掌理深山裡的大南澳隘勇線,轉為管控海岸線大南澳至蘇澳間警備道的角色。早田這兩天將依序通過浪速、烏石鼻、粉鳥林、東澳、烏岩角、猴猴溪、圳尾溪等七個警察官吏駐在所(1909年5月剛設立時稱為「蕃務官吏駐在所」,1915年起改稱),然後到達蘇澳。
當時的大南澳平原還很荒涼,總督府只允許採樟製腦者進出,一直要等到1924年才開始招募良民到龜山下的浪速(今蘇澳鎮朝陽里聚落)拓墾,分成蘇澳組、宜蘭組、羅東組、頭城組、淡水組、新竹組等多組人馬。浪速地名的由來是因為日本軍艦「浪速艦」曾於1907年7月從海上砲轟大南澳海岸,收到威嚇南澳泰雅族的宏偉成效而命名。
早田到訪時,浪速駐在所裡只有3名巡查、1名巡查補再加上3名隘勇,總共才7人而已。我只從一份標本簽上潦草難辨的字跡裏看似他在浪速採集的大輪月桃標本,可以想見早田並未在浪速多做停留,便沿著老一輩以日語稱呼的「那娘仔崎」繼續前往烏石鼻(林務局闢有「蘇花古道—大南澳越嶺段」自然步道)。
烏石鼻駐在所,我在1993年初調查蘇花古道時曾經首度到過那兒(已荒廢近70年)。一些酒瓶加上一棵依然健在的虎頭柑,確定了老一輩所稱「衙門」的駐在所位置,它就在今日的軍方雷達站一帶。烏石鼻駐在所是整條警備道上的最高點,當時有1名巡查與2名隘勇駐守在此,嚴格管制人員進出,大南澳的腦丁們都要隨身攜帶官方核發的「腦牌」,詳細核對身分後始能放行。
今日臺灣林業試驗所植物標本館仍收藏著11份共9種早田在烏石鼻所採集的標本,有蔓莖山珊瑚、薄葉雞屎樹、小葉石薯、臺灣土伏苓、雀榕、臺灣桫欏、七星山薑、澀葉榕、榕樹等。
早田在《臺灣植物圖譜》當中記載了他在烏石鼻所採集與發表的4個新種:
1. 烏石鼻芋蘭(山芋蘭) Eulophia ochobiensis Hayata, 1916
2. 蔓莖山珊瑚 Galeola ochobiensis Hayata, 1916
3. 黃果豬母乳 Ficus ochobiensis Hayata, 1918(附圖)
4. 薄葉雞屎樹 Lasianthus microstachys Hayata, 1920
相較於深山璞玉的蘭崁,擁有海洋氣質的烏石鼻亦深深地擄獲早田這位東京旅人的心。早田特地以烏石鼻來命名3個新種,包括2種蘭科植物,其中烏石鼻芋蘭為無葉蘭,蔓莖山珊瑚屬腐生蘭,平時不易見,五月時適逢兩者的開花期,所以才被專注採集且剛好路過的早田所發現。
由於早田在烏石鼻採集標本的日期只在14日當天,因此無法確定他當晚落腳何處,但是以食宿環境與路程調配研判,應該是會通過粉鳥林,下到東澳駐在所的海邊來比較合理。那兒是沿途七個駐在所當中編制最大的,有4名巡查、1名巡查補及4名隘勇,共9人駐守。
早田望著飛魚季裡蔚藍的東澳灣,心情必然無比舒暢,就暫且留下來品嘗海鮮,與巡查們話家常,悠閒地度過一個海風輕拂的愉快夜晚吧!
同時也有21部Youtube影片,追蹤數超過350的網紅hi_Pattis,也在其Youtube影片中提到,《MODEL身形參考》 🔸Kimi🔸 M號,161cm/54kg 肩寬38/胸圍88/腰圍69/臀圍93cm 🔸嫻嫻🔸 XS號,159cm/42kg 肩寬36/胸圍77/腰圍55/臀圍78cm #Pattis #4月號 #星盤編年史 00:00《4月號|星盤編年史》新品時間軸整理 03...
薄葉 藍 鳥 在 hi_Pattis Youtube 的最讚貼文
《MODEL身形參考》
🔸Kimi🔸
M號,161cm/54kg
肩寬38/胸圍88/腰圍69/臀圍93cm
🔸嫻嫻🔸
XS號,159cm/42kg
肩寬36/胸圍77/腰圍55/臀圍78cm
#Pattis #4月號 #星盤編年史
00:00《4月號|星盤編年史》新品時間軸整理
03:49《D21021》飛翔無須翅膀 | 拼接網紗雙鈕扣背心繫帶洋裝(棕/灰)
09:56《D21044》*特*條紋蕾絲蓬袖上衣(白/米杏/黑)
11:16《D21004》與生俱來的完美癖 | 古典壓摺拼接蕾絲細肩帶洋裝(白/黑)
15:56《D21028》降溫肯定句 | 負3度涼感彈性丹寧褲(藍/黑)
21:25《D21038》作為一項禮物 | 後蝴蝶結造型袖上衣(米杏/深藍)
23:33《D2125C》淑女的華爾滋課 | 交叉造型尖頭跟鞋(米白/橘棕/黑)
28:50《D21035》雙生幽默感 | 側點點網紗繫帶背心洋裝(粉杏/深藍)
33:49《D21106》幾何戀愛 | 菱形愛心綴珍珠髮夾(單一色)
34:33《D21105》傍水而生的妳 | 三片堇花瓣珍珠髮夾(單一色)
35:37《D21111》宇宙航行少女 | 側蝴蝶結編織貝蕾帽(米杏/黑)
37:20《D21113》最美好的年代 | 緞帶小金標平頂編織紳士帽(單一色)
41:32《D21015》到站的陽光 | 雕花蕾絲燒洞透膚一字領上衣(白/藍)
43:08《D21007》海王星主理人 | 拼接撞色鈕釦薄丹寧裙(單一色)
44:32《D21108》戀愛圈套 | 圈圈佩縷空愛心T字項鍊set組(單一色)
48:40《D21043》*特*V領繫帶裝飾蕾絲背心(白/軍綠/黑)
51:13《D2123A》夏日告解 | 藤編厚底扭結繫帶涼鞋(印花色/單寧色)
56:56《D21029》書裡的知更鳥 | 荷葉領印花綁帶洋裝(米杏/藍黑)
01:01:45《D21020》公正關係鍊 | 寬版設計腰頭丹寧寬褲(單一色)
01:06:42《D21003》一口口碎吻 | 櫻桃V領荷葉復古釦洋裝(粉/黑)
01:11:56《D21034》樹影光譜 | 縷空蕾絲蓬袖洋裝(綠/白/黑)
01:17:42《D21006》摩洛哥之夢 | 薄棉花磚口袋後鈕扣洋裝(粉綠/藍橘)
01:20:07《D21112》優雅血統 | 法式圓頂蝴蝶結編織帽(米棕/深咖啡)
01:22:22《D2124B》烤布蕾食譜 | 麂皮扭結交叉綁帶涼鞋(棕/黑)
01:25:10《D21107》酒釀成的可愛 | 浮雕水鑽櫻桃髮圈(紅/黑)
01:26:04《D21016》薄荷味的心動 | 附腰封斜邊裙桃心領洋裝(淡粉/灰藍)
01:30:17《D21011》宇宙之初 | 迷幻雲層綁帶洋裝(薄荷綠/奶茶棕)
01:34:31《D21040》純粹路徑 | 煙花燒洞蕾絲寬版洋裝(白/黑)
01:36:32《D21114》副船長日記 | 手繪航海撞色絲巾(藍紅/杏黑)
01:39:36《D21024》貓奴珍藏圖鑑 | 方領貓咪口袋印花洋裝(單一色)
01:43:05《D21014》失序青鳥 | 格紋拼接蕾絲方領綁帶洋裝(單一色)
01:45:47《D21122》復古派絲帶 | 包邊單色輕量皮帶(米杏/咖啡/黑)
01:47:01《D21026》秘密五線譜 | 小薔薇刺繡條紋蓬袖洋裝(單一色)
01:49:08《D21046》未成熟戀情 | 小薔薇刺繡條紋荷葉背心+短褲set組居家服(單一色)
01:52:58《D21045》半夢未醒的童年 | 泰迪熊荷葉上衣+短褲set組(米白/灰)
01:57:36《D21051》以自由為名的疆土 | 圖騰流蘇綁帶開襟罩衫(米白/淺藍)
01:59:15《D21039》白日夢售票員 | 裙擺雕花蕾絲吊帶洋裝(白/淺藍)
02:04:42《D21101》花造迷宮 | 雕花綴珍珠圓盤耳環(單一色)
02:05:14《D21103》鄰家果園 | 配果實葉片串珠耳環(單一色)
02:05:31《D21102》因為天空在哭泣 | 縷空雲朵淚滴玫瑰金耳環(單一色)
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XS號 嫻嫻 清單
《D21025》隔壁座位的日常 | 繫帶大口袋花苞裙(米杏/藍)--藍
《D21052》青春之書 | 短袖西外+吊帶背心+短褲set組(粉/綠)--綠
《D21022》晚安我的獵物 | 兔子印花不規則裙襬吊帶裙(米白/黑)--黑
《D21027》謹慎徽幟 | 格紋不對稱鈕扣背心洋裝(綠/藍)--藍
《D21053》懷舊仿生筆記 | 格紋雙排扣西外+格紋長褲set組(咖啡/藍)--藍
薄葉 藍 鳥 在 hi_Pattis Youtube 的最佳解答
《MODEL身形參考》
🔸Penny🔸
L號,160cm/64kg
肩寬43/胸圍95/腰圍82/臀圍98cm
#Pattis #4月號 #星盤編年史
00:00《4月號|》L號試穿新品時間軸整理
00:02《D21001》跳島旅程 | 雙排釦繫帶蛋糕洋裝(米杏/深藍)
00:54《D21003》一口口碎吻 | 櫻桃V領荷葉復古釦洋裝(粉/黑)
01:59《D21005》占星圖 | 手繪古典星座抓皺長裙(米白/橘粉杏)
02:37《D21006》摩洛哥之夢 | 薄棉花磚口袋後鈕扣洋裝(粉綠/藍橘)
03:28《D21007》海王星主理人 | 拼接撞色鈕釦薄丹寧裙(單一色)
04:00《D21008》浪漫價值 | 流蘇綁帶2way拼接蕾絲洋裝(綠/藕粉)
04:56《D21009》家園守護者 | 鈕扣V領格紋洋裝(紅/藍)
05:35《D21010》早餐吻 | 奶油吐司上衣(單一色)
06:03《D21011》宇宙之初 | 迷幻雲層綁帶洋裝(薄荷綠/奶茶棕)
06:47《D21012》春氛專屬色調 | 鬆緊渲染印花裙(橘紫/黃藍)
07:20《D21014》失序青鳥 | 格紋拼接蕾絲方領綁帶洋裝(單一色)
08:39《D21015》到站的陽光 | 雕花蕾絲燒洞透膚一字領上衣(白/藍)
09:33《D21016》薄荷味的心動 | 附腰封斜邊裙桃心領洋裝(淡粉/灰藍)
10:32《D21017》甜美許可證 | 藤花荷葉V領綁帶洋裝(黃/橘)
11:28《D21018》星石殞落遺址 | 蕾絲印花蛋糕長裙(淺棕/淡灰藍)
12:02《D21019》礫石 | 荷葉V領鈕扣棉麻上衣(燕麥色/橘棕)
12:39《D21020》公正關係鍊 | 寬版設計腰頭丹寧寬褲(單一色)
13:23《D21021》飛翔無須翅膀 | 拼接網紗雙鈕扣背心繫帶洋裝(棕/灰)
14:15《D21022》晚安我的獵物 | 兔子印花不規則裙襬吊帶裙(米白/黑)
15:07《D21023》抽象畫布 | 水彩印花2way蓬袖一字領上衣(黃綠/藍紫)
15:53《D21024》貓奴珍藏圖鑑 | 方領貓咪口袋印花洋裝(單一色)
16:34《D21025》隔壁座位的日常 | 繫帶大口袋花苞裙(米杏/藍)
17:12《D21026》秘密五線譜 | 小薔薇刺繡條紋蓬袖洋裝(單一色)
17:48《D21027》謹慎徽幟 | 格紋不對稱鈕扣背心洋裝(綠/藍)
18:53《D21028》降溫肯定句 | 負3度涼感彈性丹寧褲(藍/黑)
19:25《D21030》小情敵之詩 | 古典雕花蕾絲背心洋裝(白/紫色)
19:59《D21031》迷霧港口 | 附腰封交叉雙層網紗洋裝(粉/淡綠)
21:07《D21032》星期日的陽光 | 層次蓬袖2way一字領短袖上衣(白/黃)
21:54《D21033》溫柔著固執 | 復古壓摺蛋糕長裙(白/黑)
22:26《D21034》樹影光譜 | 縷空蕾絲蓬袖洋裝(綠/白/黑)
23:20《D21036》幻想情歌 | 蕾絲滾邊碎花綁帶上衣(白/黑)
23:53《D21037》加了鹽的酒 | 斜邊綁帶不對稱百褶褲裙(粉/藍)
24:29《D21038》作為一項禮物 | 後蝴蝶結造型袖上衣(米杏/深藍)
24:56《D21039》白日夢售票員 | 裙擺雕花蕾絲吊帶洋裝(白/淺藍)
25:53《D21040》純粹路徑 | 煙花燒洞蕾絲寬版洋裝(白/黑)
26:33《D21041》無香料時光 | 假兩件拼連帽洋裝(米杏/黑)
27:28《D21044》*特*條紋蕾絲蓬袖上衣(白/米杏/黑)
27:57《D21045》半夢未醒的童年 | 泰迪熊荷葉上衣+短褲set組(米白/灰)
28:43《D21046》未成熟戀情 | 小薔薇刺繡條紋荷葉背心+短褲set組居家服(單一色)
29:30《D21051》以自由為名的疆土 | 圖騰流蘇綁帶開襟罩衫(米白/淺藍)
30:09《D21053》懷舊仿生筆記 | 格紋雙排扣西外+格紋長褲set組(咖啡/藍)
30:59《D21002》初見面的你 | 小雛菊鈕扣V領上衣(米黃/深藍)
31:15《D21004》與生俱來的完美癖 | 古典壓摺拼接蕾絲細肩帶洋裝(白/黑)
31:29《D21013》逆行 | 側綁帶圓領上衣(白/藍紫)
31:45《D21029》書裡的知更鳥 | 荷葉領印花綁帶洋裝(米杏/藍黑)
32:08《D21035》雙生幽默感 | 側點點網紗繫帶背心洋裝(粉杏/深藍)
32:36《D21042》少女微甜之夢 | 桃心領抓皺印花洋裝(藍/橘)
32:58《D21043》*特*V領繫帶裝飾蕾絲背心(白/軍綠/黑)
33:14《D21052》青春之書 | 短袖西外+吊帶背心+短褲set組(粉/綠)
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Penny L號清單
《D21005》占星圖 | 手繪古典星座抓皺長裙(米白/橘粉杏)--米白
《D21009》家園守護者 | 鈕扣V領格紋洋裝(紅/藍)--藍
《D21033》溫柔著固執 | 復古壓摺蛋糕長裙(白/黑)--黑
《D21034》樹影光譜 | 縷空蕾絲蓬袖洋裝(綠/白/黑)--黑
《D21038》作為一項禮物 | 後蝴蝶結造型袖上衣(米杏/深藍)--深藍
薄葉 藍 鳥 在 Genの本棚食堂 Youtube 的最讚貼文
『月と金星』より抜粋
カクテルシェイカーのようによく冷えた中央線特別快速の中、レシピサイトで今晩の献立を考えていると同僚の牧さんからメッセージが入った。
『よ』
『よー』
『お疲れ』
『まだ経理部いる?』
『お疲れ様です』
『いや』
『そろそろ最寄りです』
『はや!笑』
『まぁたまにはね笑』
『牧さんはお決まりのやつですか?』
『からかう暇あるなら助け舟出してよ、、華金なのに、鹿島が私を離さない』
課長の鹿島さんは彼女が大のお気入りで、金曜はいつも仕事を増やして2人で残業し、20時頃飲みに誘うのがお決まりだった。
『笑』
『そうしたいのは山々ですが』
『うん、どうしようもない』
『あのさ、今日見たい映画あるんだけど、トムハーディ主人公のやつ。帰りにTSUTAYAで借りてく?』
その文面を見て僕は目を閉じた。
やってしまった。
一昨日の昼下がり、社食で山菜蕎麦を食べていると、珍しく彼女が声をかけてきた。
「どうしたんですか」
「だって。周り人いないし」
確かに、200席ある空間には僕たちをのぞいて4,5人しかいなかった。
「あらほんとう。でも仕事戻らないと鹿島さんに残らされますよ」
そう言うと、彼女は少しもじもじして言った。
「あのさ、金曜お邪魔してもいい?」
確かにそう言っていた。そして僕は予定も確認せず、蕎麦をすすりながら確かに頷いた。
きっと彼女の中では今夜のシナリオが緻密に練られていたに違いない。21時ごろ駅に到着、帰路で好物の肉まんとコーラを買ったらマッドマックスかブロンソンを観る。ダークナイトとインセプションも捨てがたいが、ノーラン監督のハーディは決まって脇役だ。そして映画が終われば午前2時のシーツで深い眠りにつく。
僕は卑しくも先約と彼女を天秤にかけた。
『すいません』
『今日弟が来ることになって、』
ありのままを伝えればきっといい思いをしないから、僕は一部だけを切り取った。
既読はついたが返答は遅く、腹の底が締め付けられた。
『そっか』
『まぁこればかりは仕方ない』
『あんまり会えないだろうし、家族団欒を楽しんで!』
『ごめんなさい、』
『気にしなさんな。明日死ぬわけでもあるまいし』
『来週ブロンソン観ましょう』
『え、なんで分かったの』
『好みそうだから』
『そっか笑 ありがとね』
『こちらこそ、ありがとう』
タイミングを失った曖昧な関係の果ては、一体いつ訪れるのだろうか。
列車の扉が開き、ホームに足をつけると、顔には茹だるような熱風が吹き付け、今夜は熱帯夜になると予感した。
巨大な看板が見下ろす駅前広場はくたびれて背筋が曲がったサラリーマンや出会いを求める溌剌とした若者で溢れている。雑居ビル群の隙間に張り巡らされた薄暗い商店街に入れば、魚の煮付け、肉饅、もつ煮に焼き鳥、色んな匂いの湯気が空間に立ち込めてすごい湿気だった。
僕は客引きを避けながら、地下の食品店で肉野菜を買い足し、一本裏手に入って桃色の壁が大変チャーミングなフィリピンパブ脇の階段を上がった。
薄っぺらい扉向こうの築50年2DKに期待できるものなんて何もありゃしない。生活に必要なだけの家具とオーディオと数本の植木鉢があるだけだ。
床に散らばるペットボトルや延長コードを避けながら僕は汗ばんだ服を脱ぎ、大窓を開けてベランダに出た。目の前には雑居ビルに囲われた小さな中庭と一本の街灯があり、そこでは子供達がキャッキャとボール遊びを、猫はシャーシャー喧嘩を、パブのママはゴンゴン洗濯機を回していた。
頭上の四角く切り取られた空には、藍夜に飲み込まれる夕焼けの中、淡い輪郭を持つ月と金星が寄り添うように輝いており、さながらムンクの星月夜のようだった。
「そんなもん吸い出しちゃって」
口元で紙煙草がじんわりと赤い火を灯す中、ママは言った。
彼女の会話の始まりはいつだって間が悪い上に好戦的で耳に障る。
「あれ、こりゃどうも。これから出勤ですか?」
僕はフェイスパックにヘッドタオルの大怪獣ダダもといママへ聞いた。
「暇ならうち手伝いなよ。先週ちょうど一人辞めたから」
「毛の処理してませんけど大丈夫ですか」
「客引きだよばか。つまんないボケしやがって」
「まぁまぁ。そういや、今日葉来ますよ」
そう言うと、彼女のフェイスパックは顔から剥がれ落ちた。
「えー!早く言ってよ!いつ来るの?」
「さぁ、特に聞いてないんで」
「聞けよ」
「時間あったら寄りますよ」
「なくても寄りな。成田屋のちゃんぷるーあるから食べさせて。あの子成長期なんだから」
「いつもすみません」
火を潰して部屋に戻ると、僕はたまっているオールナイトラジオを流しながら牧さんの歯ブラシやパジャマをしまい、床は念入りに掃除機をかけた。浅ましいことは自覚している。
『今まで本当に長い間、お世話になりました』
そんな言葉を聞いたのは3年前の春のこと、近所のバス停だった。
田村光は深々と頭を下げ、まだ小学生だった弟の葉とこの部屋を出ていった。
僕がうつむく彼を「またな」と強く抱きしめると、「本当にまたあるの?」と返ってきた。
「うん、絶対あるから、大丈夫」
そう言いながら、僕は彼女の目を見て頷いた。
「じゃあ、行くね」
「うん、元気で」
「樹も元気で」
光はとても穏やかな表情をしてバスに乗った。
車体が交差点を曲がって視界から消えた時、長い年月をかけて築いた自分の半身が死んだ気がした。
「こんな終わり方後悔するよ」
ママはそう言った。
「どうしようもないでしょ」
僕はそう言い、階段を上がった。
最低限のものが持ち出され、「捨てて」と告げられた穴あきのニットやダイアナのヒール、使い古したスケボーはあまりに生々しく、今でもクローゼットの隅に残したままだ。
随分昔、光へ告白をしたその日、彼女は僕を自宅に連れて行った。
煙草の煙が立ち込める古いアパートには痣のある母親とその恋人と、赤ん坊の葉がいた。
一目でその家庭に何が起きているか分かった。
そしてその日の夕方、僕はアパート脇のブランコでひどいフラれ方をした。
だから18になったら3人で住もうと言い返すと、彼女はくしゃっと笑った。
3人で7年間、この部屋で暮らした。働いてばかりで余裕のある暮らしなんて送れなかったけれど、幸せだった。葉を自分の弟のように、子供のように可愛がった。
入学式も授業参観も運動会も、僕は当たり前のように出席したし、色んな場所を3人で見て回った。
そして葉が人一倍努力家で、思いやりのある自慢の少年になった時、僕と光はとうに恋人ではなくなっていた。
彼らが去った晩、ソファに座って呆然としていると、葉から電話があった。
深夜零時の公衆電話からだった。
「もしもし」
「葉?どうした?こんな時間に出歩いちゃダメだろ」
「コウちゃんと同じ布団だから寝らんない、なんか部屋臭いし」
「そっか、それは寝られないな」
「もうほんとに戻れないの?」
「うーん、分からない。やっぱりちょっと難しいかもな」
「ほんとに俺のせいじゃないの?」
「それだけは違う。何度も言うけど」
「戻りたくないの?」
「戻れるなら、うん、戻りたいかな」
「俺も戻りたい。帰りたい」
「うん、そうだよね」
「うちに帰りたい」
血も縁も繋がらない少年のすすり泣きに、僕は携帯を押し当てることしかできなかった。
スピーカーから流れる宇多田ヒカルのニューシングルと共に鶏の一枚肉を卵にくぐらせていると部屋にチャイムが鳴り響いた。粘り気のある手のまま扉を開けると短髪になった葉が立っていた。
「えらい早くないか」
「部活早く終わったから」
「なんで息荒いの」
「走ってきた。何となく」
「若いって罪よねー」
僕はそう言いながら、彼の手に下がる成田屋のビニール袋を見た。
「あ」
「え、まじ」
僕が頷くと、彼は大きく溜め息を吐いた。
「まぁ、育ち盛りだから大丈夫。二人前食え。というかどうしたそれ」
襟足まで伸びていた彼のさらさらヘアーは3週間見ないだけで引き締まったツーブロックに変わっていた。
「変?」
「変じゃない。ただ垢抜けたなぁと」
そう言うと、彼は少し口元が緩んで嬉しそうにした。こんな素直な高校生この世にいるかねってくらい素直で、こっちが恥ずかしくなる。
「お、チキン南蛮!手伝うことある?」
「いやいいよ、ゲームでもやってろよ」
「えーそうですかー」
葉はテレビゲームを立ち上げて通信対戦をはじめ、僕はキャベツを千切りにした。
彼の高校進学を機に、二人は新高円寺から四ツ谷に引っ越したと聞いた。
二人がどんな物を食べて、話して、誰と暮らしているのか、僕は何一つとして知らない。
葉は彼女のことを話さない。話したがらない。
高温の油にくぐらせた鶏肉はパチパチと小気味良い音を立て綺麗なきつね色に揚がった。それから隣のコンロで醤油と砂糖とみりんベースの甘辛いタレを作り始めると、葉はゲームを止め、冷凍庫にあった残り物をひょいひょいと集めた。
「えー、いいのに」
「大したことしないよ」
「味噌汁?」
「うん」
僕はだしの素を渡し、彼は鍋に火をつけて具材を炒めた。改めて横目で見ると、身長は僕とそう変わらないし、体つきもがっしりし始めていた。
彼がまだ保育園の頃、仕事漬けの彼女は家を開けることも多く、大学生だった僕と彼は、よくこのキッチンにいた。
初めて彼の好物のチキン南蛮を作った夜、出来上がりはまずまずだったが、やや事有り気な表情の葉を見て僕は慌てた。
「ごめん、コウちゃんのと違った?」
そう聞くと、彼は首を横に振った。間違いなく揚げ物担当の自分に非があると確信したが、原因も分からず、僕は葉が残さず食べる姿をじっと眺めることしかできなかった。
一連の出来事を深夜に帰ってきたコウちゃんに話すと、彼女は静かに笑っていた。
「うちはさ、なんでか卵と小麦粉なんだよね。もしかするとお父ちゃん九州出身だったのかも。ほら、私顔も濃い目だし」
彼女は眉間の掘りをつまみ、金麦をぐびぐび飲みながらチキン南蛮もどきを食べていた。
「なんだ、美味しいじゃん」
「そりゃレシピ通り作ったからね」
「葉は贅沢なやつだなぁ」
食事を終えると彼女はすとんと眠り、朝になればまた働きに出る。襖越しの葉が起きないよう、僕たちはいつも明かりと声を絞って深夜のわずかな時間を過ごしていた。
「じゃいただきまーす」
葉は何とも行儀悪く、山盛り茶碗の上にどっさりと肉を乗せ、タレのしみた米をかき込んでいた。
「うまい!」
「そりゃ良かったよ。なぁ」
「ん?」
「彼女できました?」
僕がそう言うと、葉は僕を睨んだ。
「なんで?」
「当たっちゃったか」
「違うって」
「じゃあ気になる子?」
彼はいや、と首を傾げながらもゆっくり頷いた。
甘酸っぱすぎて叫びたくなったが、嫌われたくないので我慢した。
「写真ある?」
そう言うと、彼はスマホを取り出し、真剣に写真を探し始めた。
見せちゃうの、見せちゃうのか!本当にこいつには思春期がないのか!
ツーショットの写真に映る彼女はまぁ結構な美人で、こいつは面食いだと確信した。
「お、可愛いじゃーん。と言うかツーショット」
「普通に、体育祭の時のやつだし」
「いや体育祭でも二人じゃ撮らないだろ」
それから僕たちは彼女にアプローチするための戦略を紙に書いて練った。練りながら、かつての自分が使ったアプローチと同じものだと気づき、我ながら呆れた。
「焦らずゆっくりやりたまえよ葉くん」
僕は葉にチキン南蛮の一切れとトマトをあげた。
「トマトはいらない」
「贅沢なやつだな」
「樹はさ、彼女とかいないの?」
「え」
初めて聞かれた、そんなこと。
「ごめん、忘れて」
「いたら、どう思う?」
「うーん、まずはちゃんと紹介してほしい?かな」
「・・・・呼んでみる?」
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